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記事のまとめ
石田勝紀氏の寄稿です。ざっくりと要約すると
❶「できない子」=「勉強しない子」ではなく「算数に関する肯定感が下げられた子」
❷「できない子」に「できない所をやらせる」のは肯定感をますます下げて逆効果。逆に「できる所をやらせる」のが良い
❸「できる所をやらせる」と➀基本が固まる➁自信がつく ので、その先の学習がスムーズになる。
でしょうか。
所感
現場で20年間教えている立場から正直に言うと、「勉強がすごくできない子」に「その子ができる所」をやらせている時間はありません…
個人的にも「できない所」にピンポイントでフォーカスし、図画と弁舌で楽しませながら理解させてしまうことが自分の特技なので(今まで生徒さんに恵まれていただけかもしれませんが…)、「できる所」をやらせるなんて思いもよりません。
ただ、本文中の「補習自体が『あなたはできない子』というメッセージ」というのは大変重要な示唆ですし、まず「肯定感を高める」というのは指導の鍵になる指針だと感じました。
私は集団塾・個別指導塾・家庭教師での指導経験がありますが、個別指導や家庭教師の場合は「授業自体が『あなたは集団塾についていけない子』というメッセージ」と感じている生徒さんも少なくありませんでした。
そんな生徒さんでも、初回授業の前に勉強以外の好きなこと・できることを聞いておき、初回授業の開始時に共有したり学習スタイルに取り入れると、授業がスムーズに進むことが多かったのです。これは「できない所」にフォーカスする前に生徒の「肯定感」を十分に上げられていたのでしょうね。
指導方法は生徒・指導者の個性によって千差万別でしょうが、生徒の「肯定感」を十分に高めた上で「できない」ところにフォーカスするという手順はすべての指導者が心得るべきでしょう。
実践的追記
記事のタイトルになっている、「分からないところに戻るのは正しいか?」にもう少し実践的に解答すると、
「戻っていたら永遠に追いつけません。1年余分に勉強できるなら、それもありかもしれません。」になります。
ではどうするかというと…
カリキュラムの進度に従いつつ問題を取捨選択統廃合して時間を作り、その時間を使って分からない箇所(穴)を埋め復習素材を作り、同じような穴ができないように応用が効く基本を理解定着させるのです。
これを何ヶ月か続けて、ようやく穴が埋まって先に進む準備ができます。生徒・保護者の熱意だけでなく指導者にも熱意と力量が必要です。
まわりが努力している集団の中で遅れを取り戻すというのはそれくらい大変なことです…