中学受験】物語文の読み方とは?読解公式でスッキリ理解【高校大学受験

中学受験生で物語文が苦手な方、あなたは「自分は登場人物の気持ちを読み取れない…感受性が鈍いんだ…才能が無いんだ…」と悩んでいませんか?

実は物語文で人物の感情を読み取るのに必要なのは「感受性」ではなく感情表現を知っているか、つまり「知識」なので、正しく学習すれば読み取れるようになります。

また、物語文で読み取るのは「登場人物の気持ち」だけではありません!それは読み取るべきことのほんの一部です。

この記事では東大卒講師歴20年の図解講師「そうちゃ」が、物語文読解のルールを明確な「公式」にしてお伝えします。

この記事を読めば生まれつきの「感覚」「感性」ではなく、学習で身につけられる「知識」「公式」で物語文を読み取れるようになりますよ。

物語文の読解公式

読解公式

国語の勉強方法が分からない・成績を上げづらいと感じる方は多いです。

その原因は、読解学習・実践では何に気を付けたら良いのかハッキリしていないから。

自分の身の回りでも「何もしなくても出来る「読書すれば出来る「解いているうちに出来るようになる」知識だけやっておけ」 こんな助言をしている指導者が多い(汗)

確かに読書は有効だし演習量も必要ですが、闇雲にやっても読解力がつくとは限りません。

そこで私が提案しているのが「読解公式」というわけです。

読解公式とは、個々の文章とは関係なくジャンル(説明文・物語文・随筆文・韻文)ごとに定められる読み取りのルールです。

例えば物語文の場合なら、どのような文章でも➀設定②感情➂関係を読み取ると決めておきます。

これは解答のルールにもつながっていきます。

記号問題の選択にも➀設定②感情➂関係の情報を使いますし、記述問題で何を書くべきか悩んだ時でも「読解公式」を思い出せば「設定,感情,関係について書けることはないかな?」と材料探しを始められます。

物語文で読み取ること

あなたが本・テレビ・映画で物語を見て「面白い!」と感じるのはどこでしょうか?

「ライバルの○○が影があってカッコいいんだ!」
「主人公の妹がけなげで可愛い♪」
→これらは「影=複雑な経歴」「けなげな性格」というキャラクター(人物)設定に魅力を感じています。

「はじめは相手を嫌っていたのに、行動するうちにだんだん惹かれてくるのが良い」
→これは人物の感情の変化に魅力を感じています。

「途中まで何度も戦っていた主人公とライバルが、終盤に現れた裏ボスに対して協力して立ち向かう展開に燃える!」
→これはキャラクター(人物)の関係の変化に魅力を感じている

このように、人物の設定、人物の感情の変化、人物間の関係の変化に魅力を感じることが多いのではないでしょうか?

じつはコレは受験の長文読解で読み取ることでもあるのです。

つまり物語文で読み取るのは以下の3つになります。

物語文で読み取ること

➀設定(人物の設定や属性、舞台背景など)

➁人物の感情の場面ごとの変化

➂人物間の関係の場面ごとの変化

 

設定

 

「設定の読み取り」で詳述します

感情の変化

 

「感情の読み取り」で詳述します

関係の変化

 

「関係の読み取り」で詳述します

場面の転換

変化の単位として、場面の切り替わりをつかむ必要があります。「場面」で詳述します。

物語文で線を引く箇所

読み取るべき3つ➀設定➁感情➂関係には当然ですが

それ以外に2つで、合わせて5箇所に線を引く

説明文の読解との違い

訓練法の一例

場面の切り替わり

設定からの感情・関係の変化は「場面」単位で起こるので、場面の切り替わりを把握できれば変化も把握しやすくなるという意味で場面の転換を意識することが必要です。

読みながら場面が変わったかなと思ったら、区切り印をつけておくと良いでしょう。

ズバリ場面が変わる場所を問う設問もある(開成中とか)

場面切り替わりの基準

場面転換の基準

①時間が経過する

②場所が移動する

③人物が増減する
(誰かが入ってくる、出ていく。)

④雰囲気が変化する
(楽しかった会話が口喧嘩になる)

場面切り替わりの基準は、大きな順に➀時間が経つ ②場所が変わる ➂人物が増えたり減ったりする ④雰囲気が変わる です。

時間の経過

数時間後・数日後など。一番大きく、分かりやすい切り替わり。

物語の中では感情や人間関係はかなり変化するのに対して、設定(人物の性格など)はほとんど変化しないのが普通ですが、年単位の長い時間が経過する場合は設定も変化することがあります(意地悪な性格→思いやりのある性格、未熟な子供→成熟した大人)

場所の移動

時間の経過が少なく(数時間)場所が移動する場合。これも分かりやすい。感情の変化が起こりやすい。

例:学校で友達に馬鹿にされるが、愛想笑いで返す→帰宅中にだんだん腹が立ってくる

時間の経過がまったくない場合「その頃…では」は、単に焦点の当たる人物が変わるだけで、感情や関係の変化が無いこともある。

例:

人物の増減

場所も時間も変わらないが、人物が増減して雰囲気が変わると場面も変わります。

例:友達同士で会話(楽しい雰囲気)しているところにイジメグループの一員が割って入ってくる(嫌な重苦しい雰囲気)

雰囲気の変化

雰囲気は情景(感情の表現方法の一種)の一種なので、若干トートロジー(循環論法)ぽくなる。

色付きの漫画なら背景色、映画ならBGMが変わるのを想像すると良い。

設定の読み取り

物語文で読み取ること

❶設定(人物の設定や属性、舞台背景など)

➁人物の感情(の変化)

➂人物間の関係(の変化)

物語文で読み取ることの1番目が「設定」です

人物の設定

設定で読み取る一番大切な事が人物の設定。「その人はどういう人なのか?」

特に大切なのは、人物の性格です。対比的に表現を増やしていく

性格

 

 

体格と性格

体格などによる性格のステレオタイプがある。


肥:楽天的・おおらか・包容力⇔痩:悲観的・神経質・孤独

人物の性格を問われる問題でのヒントになる

これは漫画やドラマで、見た目と性格の関係を観察してみましょう

家族構成と性格

これもステレオタイプがあります(あくまで物語の設定であって、現実に絶対こう、と主張するものではございません)

職業と性格

あくまでステレオタイプです。偏見ではなく、物語文の設定として知っておきましょう。

 

背景舞台設定

物語の舞台に関する情報も大切です。

場所

 

●「田舎」に都会からやってきた「よそ者」の主人公が「先住民」と対立している・疎外感をもっている、というのはよくある設定

場所(国)による風習の違いを一般常識として知っておく必要がある。

時代

特に「昔」の話

身分性別上の職業思想の制約(ゆえのドラマ)があることが分からないお子さんが多い(歴史を習っていないのなら当たり前)

感情の読み取り

物語文で読み取ること

➀設定(人物の設定や属性、舞台背景など)

❷人物の感情(の変化)

➂人物間の関係(の変化)

物語文で読み取ることの2番目が「人物の感情(の変化)」です

感情の種類

単純な感情

プルチックの感情の輪(→Wikipedia)を参考にして、整理しました。

喜(き):嬉しい気持ち

 

怒(ど):怒りの気持ち

 

哀(あい):悲しい気持ち

 

怖(ふ):恐れる気持ち

 

楽(らく):安心した気持ち

 

驚(きょう):驚く気持ち

 

愛(あい):他人を好む気持ち

 

憎(ぞう):他人を嫌う気持ち

 

これらの間に様々な気持ちが位置します。よく使われる・出題される気持ちを列挙してみます。

罪悪感・後ろめたい気持ち

 

決意・決心・~するぞという気持ち

 

 

複雑な感情

上で見た単純な感情が組み合わさったのが「複雑な感情」で、本文で「複雑な気持ち(表情)」と書いてある部分を「どういう気持か」と問われることが多い

タイプA

プラスの感情がマイナスの感情で邪魔されるタイプ

よく見かけるのは、嬉しい出来事があっても素直に喜べないというもの

・テストに合格したが、友達が不合格で素直に喜べない

・子供の成長が嬉しい反面、もう世話を焼けなくなるのが寂しい

(憎らしい級友が引っ越すと聞き)すっきりする一方で、もうケンカできないのがちょっと寂しい

・受験が終わって開放感がある一方で、充実した日々が終わってしまうのが寂しい気もする

タイプB

マイナスの感情をプラスの感情が上回る

よく見かけるのは、下に見ていた相手(子供や生徒)に負けて悔しい(マイナス)が、相手の成長が嬉しい(プラス)というもの

・勝負に負けて悔しいが、新たな目標が見つかって意欲に燃える気持ち

感情表現の種類

感情は直接表現されることの方が少なく、感情以外の様々な事物を使って間接的に表現される。

例えば「悲しい」感情を表現する場合に、「私は悲しかった」というのが直接的表現。

実際の文章では「肩を落とした」というジェスチャー、「冷たい雨が降っていた」などの風景、「喪服」のようなモノ、「捨てられた犬が鳴いていた」のように他の生物など、様々な間接的な表現がある。

このような感情表現の種類を整理すると、次のようになる

感情表現の種類

●A直接表現
感情を直接記述「悲しい」

●B間接表現
感情を気持ち以外の表現で記述

○B1身体表現
動作や表情の描写で表現「肩を落とす」

○B2情景表現
風景描写で表現「冷たい雨がしとしと降る」

○B3シンボル表現
モノのイメージで表現「喪服」

○B4ダブル表現
他の人物生物の様子で表現「悲しそうに鳴く犬」

読解における「感情の読み取り」は感性の問題ではありません。

このような表現をどれだけ知っているかという知識の問題です。

直接表現

「彼は嬉しかった」のように、感情を直接表現したもの

理由

単独で聞かれるとしたら、その理由。

対比

複数箇所での同一表現の違いを聞かれる問題も散見する。

(例)
傍線部AB二箇所の「嬉しかった」の違いを聞かれた場合
→(解答例)
Aではテストの点数を褒められて単純に喜んでいるのに対して、Bでは自分の人間性を褒めてもらえたことに感動している。
(解説)
解答には「嬉しい」という表現をできるだけ使わずに、対比を明らかにすると良い。

喜怒哀怖楽驚の基本感情を違う表現で言えるように訓練しておく

身体表現

感情表現の大半はコレで、物語文の読解は文中に無数に存在する身体表現を読み取ることに等しい。

 

 

情景表現

人物の気持ち(の変化)を風景の様子(変化)で表現したもの。

創作にはお約束がある

実生活とは異なり、物語文の創作においては景色の描写が感情と一致していないと不自然さを感じて物語に集中できません。

例えば、空の様子を描写するとして、苦労して何かを達成して嬉しい場面の背景が「月もない真っ暗な夜に激しい雨が降っていた」だとしたら「え?!…」と頭が混乱してしまいます(汗)

嬉しい場面なら「晴れた空」がふさわしいし、「抜けるように晴れた空」「雲ひとつ無い晴れた空」にすれば嬉しい気持ちが強調されて読んでいる方も安心して読み進めますね。

反対に悲しい気持ちの場合は、上に書いたような「冷たい雨」がふさわしいでしょう。

このような「お約束」を利用して感情を表現するのが「情景表現」です。

怒りの気持ちなら「嵐」「雷」などが良いでしょう。

感情別の代表的な情景表現

「そうちゃ式 物語文読解公式」での単純な感情の例で考えます

(補充中)

喜(うれしい)

「青空」「晴れた空」「青い空白い雲」「爽やかな風」「鮮やかな色(の景色)」

怒(いかり)

「激しい雨・風」「雷・稲妻」「蒸し暑い」「轟音」

哀(かなしい)

「寒い」「冷たい雨・風」「枯れ木・落ち葉」「冬」「モノトーン(色味の無い景色)」

怖(こわい)

「暗く寒い」「人気の無い(場所)」「風切音(ヒュウ~~)」

楽(安心)

「のどかな天気」「そよ風」「柔らかい日差し」「芝生」

 

想像するコツは「背景色」をイメージすること

カラーの漫画では、人物の感情や場の雰囲気に応じて背景色が変わりますね。あれが情景表現の一つです。

シンボル

ダブル

人物の感情を直接表現せずに、人物の分身(ダブル)に投影して表現する。

シンボルがモノだったのに対して、ダブルは動物が多い。

恋人に振られた主人公が歩いていた道の電柱の横で、野良犬が一匹が寂しそうに鳴いている。

捨てられた悲しみを主人公の代わりに表現している。

設定情報との組み合わせ

感情を判断する場合は、読んでいる行だけでなく設定(性格)などを加味して判断する

関係の読み取り

物語文で読み取ること

➀設定(人物の設定や属性、舞台背景など)

➁人物の感情(の変化)

❸人物間の関係(の変化)

物語文で読み取ることの3番目が「人物間の関係(の変化)」です

関係の種類

 

 

関係の表現

 

 

変化の例

友好→敵対→友好

友達とケンカして、仲直り

敵対→友好

ずっと仲が悪かった友人(グループ)と打ち解ける。少年漫画はスケールを拡大させながらこれを延々繰り返す(汗)

縦:上下(服従)→横:水平(対等)

親(先生)が子(師匠)の成長を認める。兄が弟を一人前と認める。

縦の関係(ほめられるから手伝う)

横の関係(相手が喜ぶのが嬉しいから手伝う)

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