こんにちは!図解講師の爽茶です
あなたが一番キライな季節はいつでしょうか?
私の場合、木々の葉が落ちて「景色の色が消えていく」この時期が一番苦手です。
毎週土曜日更新の「家庭で国語力を上げる」シリーズです。
今回は、説明的文章の三大構造の最後の一つ
「小さな○○」です。
①Q→A(問題提起とそれに対する筆者の主張)
②A↔B(筆者の主張と反対意見(常識)との対立)
❸
目次(クリックでジャンプ)
復習:説明的文章の形=QBA
説明的文章は、問題提起に対する筆者の主張(Q→A)を第一の骨組みとする。
さらに、筆者の主張(A)は反対意見=常識(B)と対比の関係(A↔B)になっている。これが第二の骨組みとなる。
そして、Q→AとA↔Bは「Q→B↔A」という流れで現れる。
これが説明的文章の形でした。
買い物をする時に…
さて、寒くなってきました…我が家の愛猫も寒そうなので、猫用のホットカーペットを買おうと思います。
あなたが何か買う時、目的のモノをいきなり探し当てられる事の方が少ないでしょう。
たいてい、似たような商品をいくつかピックアップした後で色々と比べて迷って「コレがいいな」と選ぶと思います。
何故比べるのでしょうか?
ずっと例に出している鎌倉幕府で考えてみましょう。「鎌倉幕府の特徴は?」と聞かれたとします。
「鎌倉幕府」だけで考えると「源頼朝」とか「北条氏」を連想しますが…それが「特徴」か?と言われるとピンときませんね
そこで、鎌倉幕府と似ていて、それより前にあったものと比べましょう(歴史なので前と比べます)。それは何でしょうか?
平清盛も武士ですから平氏政権も「武士政権」とは言えるかもしれません。
しかし彼は貴族の最高位である「太政大臣」として政治を行いました。
従って平氏の政権はあくまで天皇をトップとする大和朝廷の枠内にとどまっていたと言えます。
それと比べると、源頼朝は「征夷大将軍」になって京都と離れた鎌倉で、独自に「幕府」という組織を作り部下を任命して政治を行いました。
つまり「独立した」最初の武士政権であることが鎌倉幕府の特徴だと分かります。
「似た他のものと比べる」というのは歴史に限りません。あなたがお住まいの県の特徴は?と聞かれたら何と答えればよいでしょう?
私は関東に住んでいるのですが、関東の人間からすると「岩手と秋田」「長野と岐阜」「福井と富山」「鳥取と島根」「岡山と広島」この隣接した2県の組み合わせは区別がつかないことが多いのです(スイマセン)
しかし岩手にお住まいの方からすると「秋田と一緒にするな!岩手は~だけど秋田は…だし、岩手には~があるのに秋田には無いし、」という感じで沢山の特徴があるでしょうね
このように歴史に限らず地理、社会に限らず理科でも国語でも、説明的文章に限らず物語的文章においても、学問に限らず芸術においても、何かの特徴をはっきりさせるには、この「対比」というのが一番有効です。
大きな対比と小さな対比
実は、さっき説明した説明文の構造の中に既に「対比」が出てきています。そうです、QBAの「A↔B」対比です。これは筆者の意見(A)と反対意見(B)の「意見の対立」でした。
今回お話ししているのは、自分の意見を述べるための、自分の意見の中での対比です。「A↔B」という対比の中にある対比なので、「小さな対比」としましょう。
私の授業では「小さい」対比なので小文字にして「a↔b(すもーるえーびー)と読んでいます。一方「A↔B」の方は「大きな対比」なので「らーじえーびー」と読んでいます。
論説文では、意見の対比つまり「A↔B」の大きな対比が目立ちますが、説明文では「A↔B」が目立たず「a↔b」の小さな対比が目立ちます。
これで、説明的文章の構造が全て出揃いました。
❶Q→A(問題提起とそれに対する筆者の主張)
❷A↔B(筆者の主張と反対意見(常識)との対立)
❸a↔b(筆者の意見の中での対比)
3つをまとめて図にすると、こんな感じです。対比が二重構造になっていることに注意して下さい。
この型にあてはめて読めば、開成中から東大まで、大部分の説明的文章は理解できます(イヤ、マジで!)
2つの対比を区別する利点
以前、説明的文章で線を引く箇所を説明しました。
①段落内で一番抽象的な箇所
②接続語(特に逆接とまとめ)
③繰り返し使われる言葉(キーワード)
④直接的表現「重要」など
参考記事:「説明的文章で線を引くべき4つの表現」
この中で、何度も繰り返し出てくる表現(キーワード)に線を引くようおすすめしましたが、実はただ線を引くだけでは意味が余りありません(線を引かないのに比べれば遥かに良いですが)。
というのも、キーワードは筆者の主張(A)だけでなく反対意見(B)に属するものがあるので、キーワードに線を引く時はAのキーワードとBのキーワードにグループ分けをしていかないと正しい理解ができないからです。
さらに、キーワードの中には筆者の意見の中での対比aとbそれぞれに属するものもあるのです。
つまり、説明的文章は「大きな対比」「小さな対比」の二段階の構造になっていることがあるので、キーワードもその構造に対応して二段階のグループ分けをしないと、読んでいるうちに頭がゴチャゴチャになってしまうのですね。
この図で言うと、一段階の対比しか意識していないと、青とピンクの(大きな対比の)グループ分けで終わってしまい、ピンクとオレンジの(小さな対比の)グループ分けが理解出来ないおそれがあります。
したがって、読解中に対比に気づいたら「これはどのレベルでの対比かな?」と考えるクセをつけないといけません(私が提唱する「読解公式」の一つです)
あとがき
説明的文章の三つの構造を提唱致しました。難解な文章のクリアな理解に役立てていただけると幸いです。
次回の記事「対比表を使って対比作文をしよう(」は今回の「小さな対比」を使った「対比作文」で国語力をアップさせる方法です。
これは短期間で生徒の目からウロコを落とす学習法です。
最後までご覧いただき
ありがとうございました!
また来て下さいね
ー(^o^)/~~