「読解力」とは内容を理解する力ではなく○○を識別する力

中学受験で国語がイマイチ得意でない方は「読解力を付けたい!」と思っているでしょう。その気持ちはよく分かります!

では読解力って何でしょうか?「内容を理解する力」だと思っていませんか?実は違うんです…

「読解力」は内容そのものではない「別の何か」を判別する力です。そしてテストで難しい文章を読んで解答するためには、この力が絶対に必要になります。

この記事は東大卒講師歴20年の図解講師「そうちゃ」が「読解力とは何を読み取る力なのか」「その力を身につけるにはどうしたら良いのか」を提示します。

記事を読んで、国語学習の方法を改善すれば「読解力」が徐々についていくでしょう♪

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「読解力をつけるには?」
という質問

こんにちは!図解講師の爽茶です

今回は説明的文章の読解力を上げるための家庭での勉強法の前提として「説明文の読解」とは何か?についてです。

そのアドバイスは間違ってます

さて「読解力を上げたい!」と願う生徒や保護者の方は先生や講師に対して「どうしたら説明文が読み取れるようになりますか?」という質問をしたことがあると思います。

色んな答えが帰ってくるでしょうが…私が思う一番ダメな答え、ワーストワンは何だと思いますか?

それは「大事なところに線を引きながら読みなさい」という答えです。
(>_<)

ちなみに、ワーストツーは「要約をしなさい」という答え

そのような答えよりは、「とにかくたくさん文章を読んで下さい」「問題演習の量を増やして下さい」という答えや「最初と最後の部分が大切だから、そこを中心に読みなさい」というような答えの方がまだましです。

(最後の答えは良い答えなんだけど、生徒が全体を読まなくなる恐れがあるので教授法としてはNGだと思う)
( ・Θ・)

それは読解力が「ある」証拠です

何故最悪かというと「大事なところに線をひく」ためには「どこが大事か」分からないといけません。

ところが読解力がない生徒さんには「どこが大事か」は分かりません。

したがって読解力がない生徒さんが「大事なところに線を引きなさい」と言われても「どこに線を引いていいかわかりません」で終わってしまうのが普通です。
(^_^;)

つまり「線を引く」という行為は読解力のチェックには使えても読解力の養成には使えないのです。

ちなみに「要約する」のも同じです。そもそもよく素材として挙げられる「新聞のコラム」は随筆のようなもので要約に適していません。自分自身、大学受験時にやりましたが、すぐに無駄と気づきましたw…

では、どうすればいいのでしょうか?

隠された重要なヒント

「大事なところに線を引け」というアドバイスは最悪のアドバイスですが、実は、読解力アップの大切なヒントが隠されています。

「大事なところに線を引け」とか「要約をしてみろ」という指示がされるのは説明文の読解=大事なところを抜き出すことという理解がされているからで、これは重要なヒントです。

説明文の読解は魚の身を取り分けながら中の骨の形を調査していくようなものです。(一方物語文の読解は、魚の身を取り分けながら部位による食感の違いなどを鑑賞するようなものです)

大事かどうかの判断は○○的に

先程「大事なところに線を引け」とか「要約しろ」という指示が最悪と言いました。

その理由は「大事な所(骨)」と「大事でない所(身)」の識別方法が示されていないからです。

そこで、この記事では識別方法を明らかにしていきます。

気をつけてほしい事は、「形式的」「外見的」に識別しないといけないということです。

例えば「2つの箱のどちらに宝石が入っているか」を見分けるのに「中を開けて確かめる」なんてのは答えになりませんね。「箱にリボンが結んである方」とか「箱が新しい方」というように、外見から判断出来ないといけません。

同じように「大切かどうか」の識別は内容が良く分からなくてもできないとダメなのです。

もう一度「読解力」って何?

説明的文章の読解については、どの国語の参考書でも「大事なところを読み取る」とか「要点を読み取る」とか書いてあります。

しかし「大事なところ」の見分け方を明確に書いている本は少ないです。

そして、そういう本の著者(の何人か)はもちろん、これを読んでいる生徒や保護者の皆さんが根本的に勘違いしていることがあります。

それは 読解力=内容が分かる事 では無い!ということです。

例えば、次のような文章があったとします。

甲B-2クビモゲラは次元変孔性が高いモゲラントである。1920年4月に時空感応者により観量された20ユニットの甲B-2クビモゲラはテx25メールの23+番上級穿孔塔の25iレベルとアンチ第4大陸のデシマントXLエッジaの間で56グレードのハナゲージバーストを3分も持続し、そのうち3ユニットは97.5グレードのハナゲジゲジバーステスト地平に達したと言われている。

この文章の「意味」「内容」が分かる人は世界に一人もいないハズです。

何故なら私が適当に書き散らした文章だからですw(意味が分からない文章を書くのは疲れました)

しかし、この文章で「大事なところ」は分かる人が多いと思います。さあ、どこでしょうか?

答えを表示

「クビモゲラは次元変孔性が高いモゲラントである。」という最初の文ですね

二番目の文は一番目の文を詳しく説明しているだけなので重要性では劣ります。

今やった「大事なところが分かる」というのが国語の読解力の正体です!

そして「大事なところ」の判断基準は文の内容とは関係ありません。今の文の意味は誰にも分かりませんでしたからねw

大事なところの判断は「内容」ではなく「外見」だけで出来ないと駄目なのです。

なぜなら、内容からの判断が必要になってしまうと、内容がよく分からない文章や初めて読む文章の場合、どこが大切か分からないからです。それでは困ります。

実は「内容が分かる」のに必要なのは国語ではなく数学・理科・社会など他の科目の知識です(だから理社が出来る人の方が国語も有利です)

というわけで、読解力=文章のどこが大事なのか、外見だけから見抜く力なのでした。

小まとめ

●読解力=国語力
内容ではなく形式から
文章のどこが大事なのか見抜く力。

◯内容を理解する力
他の科目の知識
国語力ではないが読解を助ける働き

大事な部分=○○的なところ!

では、「大事なところ」と「大事でないところ」をどうやって判断しているのでしょうか?

その基準を明らかにできれば国語が苦手な人でも「大事なところに線を引く」ことが可能になりますね!

先程の例文は、2つの文で出来ていました。もう一度示します

(文A)甲B-2クビモゲラは次元変孔性が高いモゲラントである。
(文B)1920年4月に時空感応者により観量された20ユニットの甲B-2クビモゲラはテx25メールの23+番上級穿孔塔の25iレベルとアンチ第4大陸のデシマントXLエッジaの間で56グレードのハナゲージバーストを3分も持続し、そのうち3ユニットは97.5グレードのハナゲジゲジバーステスト地平に達したと言われている。

はじめの文(A)とあとの文(B)を比べると、両者とも意味は不明wですが、Bの方が日時などの数字が盛り込まれていて具体的です。

つまりA(抽象的)↔B(具体的)ということです。
わざと書きませんでしたが、普通は、AとBの間に「例えば」という接続詞が入って、こうなります↓

甲B-2クビモゲラは次元変孔性が高いモゲラントである。例えば、1920年4月に時空感応者により観量された20ユニットの甲B-2クビモゲラはテx25メールの23+番上級穿孔塔の25iレベルとアンチ第4大陸のデシマントXLエッジaの間で56グレードのハナゲージバーストを3分も持続し、そのうち3ユニットは97.5グレードのハナゲジゲジバーステスト地平に達したと言われている。

そして大事な部分はオレンジにした「甲B-2クビモゲラは次元変孔性が高いモゲラントである。」です!

もちろん「クビモゲラ」とか「次元変孔性」の意味は(だれにも)分かりませんよ。

 

これで分かりましたね。

「大事な所」を形式的に判断する基準は「抽象/具体のレベル」もう少し正確に言うと「(文中における相対的な)抽象/具体のレベル」だったのですね。

大雑把に言うと、大事な所=抽象的なところなのです。

ちなみに、「抽象的」=「難解」というのもよくある勘違いです。

先程の例で分かりますが、抽象/具体レベルは、その文章の中で、含む内容の細かさ豊かさの順位によって相対的に決まります。

例えば「…爬虫類…トカゲ…爬虫類…エリマキトカゲ…ニホントカゲ…」という文章では

エリマキトカゲ=ニホントカゲ<トカゲ<爬虫類

という順に抽象度が高くなります。つまり「爬虫類」は抽象的な言葉です。

一方「…生物…脊椎動物…爬虫類…爬虫類…哺乳類…」という文章では

哺乳類=爬虫類<脊椎動物<生物

という順に抽象度が高くなるので、「爬虫類」は具体的な言葉になります。

このように具体/抽象は言葉の難易度ではなく周囲との関係で決まってくることが多いのです。

また、抽象と具体を比べた際に何故抽象の方が大切かというと、説明的文章での筆者の言いたいこと・主張はたいてい抽象的だからです。
(「これからの日本人は『心の国際化』をしなければならない」とか)

一方、例・理由などは具体的です。(外国語が話せてコミュニケーションが出来ても、異文化で暮らす外国人の心のうちを理解しようとしなければ云々、先日も来日間もないアフリカ人のAさんが云々)

そして文章は意味段落に分かれているので、各段落で一番抽象的な文(部分)に線を引いてつなげればたいてい文章の大意に近づいていくのです。(そんなふうに機械的に行くとは限りませんが…)

長々と書いてきましたが、説明文の読み取りの基本は「文章・語句の抽象/具体レベルの判断なのです。

実際の指導現場での読解力養成

最初の話に戻ると、「読解力をつけるにはどうしたら良いですか?」という質問に対して

段落の中で一番抽象的な部分に線を引きながら読み、最後に傍線部分を読み直しなさい

というのが国語力皆無な生徒に対しても有効な指示でしょう。

もちろん、その指示だけでは生徒もチンプンカンプンなので
(^_^;)

実際の指導では

・「抽象」「具体」の簡単な説明と練習
(10分くらい。「食べ物(抽象)」↔「ラーメン(具体)」
とか「ラーメン(抽象)」↔「川口駅のホームの塩ラーメン(具体)」のように言葉を作るゲーム)

・接続語の説明
(20分くらい。特に逆説と例示)

をしないといけませんが

大抵の子が、段落レベルでは要点をパッと特定できるようにはなります。

そこから「大意」をつかむには『流れの理解』が必要ですが、

「具体/抽象レベル」という目を持つだけで、それまでは「セツメイブン」という得体の知れない怪物だったものが

「ここはヤバイ・大事なところ(骨)だ」
「ここはそうでもないところ(身)だ」

と区別できるので、

骨では集中して読み身のところは軽く流す、というふうに力を配分しながらラクに読めるようになり、設問に答える余裕も出てきます。

また、国語以外にも英語の長文読解にはこの考え方が必要不可欠です。高校になって「英語が出来ない」「長文読解が出来ない」という生徒は「具体/抽象」の意識が無いことが多いです。

英語の文章は日本語以上に抽象/具体のリズム感が強いので、抽象/具体の意識を持てば分からない単語だらけの文でもサッと大意をつかめてしまうことが多いのです。

記事のまとめ

説明文の読解力
  • 説明文では大事なところとそうでもないところがある
  • どこが大事かを読み取るのが読解力
  • 大事なところは抽象的

  • 抽象/具体レベルを判断するのが読解力の第一歩
爽茶そうちゃ
抽象/具体レベルの判断の重要性が分かったら、問題集などの文章で試してみましょう。
●オススメ問題集
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次のステップへ

このように、説明的文章の読解の第一歩は抽象/具体レベルを意識することです。ですから、家庭での会話で抽象/具体を意識して自分でも使いこなせるようになれば読解力アップは間違いありません!

実際、話好きの保護者の方は無意識でやっていると思いますが、それを親子の会話として意識的に練習してみようというのが次回の記事(3)「会話に◯◯/✕✕性を」です。

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