「家庭の会話で国語力を養う方法」をよく見ますが、その多くは「話題」についてばかりで「どのように」会話をするのか書いてありません。この記事は東大卒講師歴20年の管理人がお子様のタイプ別に「どのように」会話をすすめれば「国語力」を養えるかを提案します。
さてあなたのお子様は「口数が多い/少ない」「おしゃべり/寡黙」どちらのタイプでしょうか?目次からタイプ別の項目をお選び下さい。
目次(クリックでジャンプ)
おしゃべりな子には
具体→抽象を意識させる
こんにちは!爽茶です
ー(^o^)/~~
前回の要点は「説明的文章の読解力アップには文の抽象/具体レベルを意識することが大切」でした。
今回は、家庭の会話でも抽象/具体を意識してみよう
という話です。
さて、会話好きのお子さんの場合、本人はもちろん、親御さんも
しゃべるのが好き
_____↓
文章や国語が好き
_____↓
国語は出来る
というふうに期待しませんか?
ところが!
実際に塾に入って摸試を受けるようになると、国語(特に説明文)の成績が悪い!!と驚くことがあります
(^_^;)
おしゃべり好きのお子さんは気が向いたこと・話したいことを脈絡無く一方的にバーっとしゃべる事が多いです
その事自体は親御さんが聞き上手であるということ、親子の信頼関係がある証拠なので良いと思います。
ですが、ただ聞いているだけ、あるいはお子さんのペースで一緒になってワーワーおしゃべりしているだけ、というのは非常にもったいないです
(一方的に喋らずに、相手の言うことを聞く・理解することについては後日テーマにします)
そんなこと言われても、どうすれば良いの?…
(´;ω;`)ウッ…
子供の言うことを「まとめる」
今回の提案は、お子さんが話す内容を「まとめ」てあげることで、「同じ内容でも、表現には抽象と具体の幅があるんだな」とお子さんの頭に刻み込む(前回お話した「内部化」)というものです。
ただ、「まとめる」と言っても上手な「まとめ」をする必要はありません。
子供の話よりも一段階だけ抽象的にしてあげれば良いのです
また、おしゃべりなお子さんが話をするのは内容ではなくそれ自体がコミュニケーションなので、お子さんの話を無理さえぎったりせず十分に聞いてあげてから「まとめ」るのが大切です。
いくつか、シチュエーションを考えてみたので、クイズだと思って試して下さい。
母「今日、学校どうだった?」
子「今日学校で、A君が○○が好きで、B君が『僕も好き』って言って、この間はC君も遊んでて…ゼエゼエ(喋り疲れ)」
さあ、
なんと「まとめ」ましょうか?
あるいは、
母「今日は何かあった?」
子「今日は、学校で○○があって、朝は○○をしなくちゃいけなくて、夕方○○君と〇〇君と…ゼエゼエ」
今度はどうまとめれば良いでしょうか?
母「昨日、行ったお店はどうだった?」
子「お店に行ったら…があって…もあって、それと…もあった」
これはどうでしょうか?
このような会話を重ねていれば…お子さんの頭の中で、
「大忙しだったなぁ」
「色々あるなぁ」
という表現が浮かんでくるようになるはずです。
いつかは、お子さんの方から
「昨日行ったお店にはアクセサリーが色々あったよ。
…があって、…もあった,…もあった。」
こんな「抽象→具体」という分かりやすい話が聞ける日も来るかもしれません
慣用句やことわざを使う
慣用句やことわざは表現こそ具体的ですが、少ない字数で事態を表現できるという点では抽象表現の一つと言って良いでしょう。
先程の例ではワザと書きませんでしたが、今度は比喩や慣用句を使って「まとめ」てみましょう
母「今日、学校どうだった?」
子「今日学校で、A君が○○が好きで、B君が『僕も好き』って言って、この間はC君も遊んでて…ゼエゼエ(喋り疲れ)」
さあ、なんと「まとめ」れば良いでしょうか?
母「〇〇は『引っ張りだこ』だね!」
こんな感じです。
「○○は『タコ』じゃ無いよ!」と聞き返されたら
(^_^;)
「皆が好きなことを『ひっぱりだこ』と言うんだよ」と教えてあげられますね
本来、比喩や慣用句は読書やこういう会話で覚えるもので、受験をするからといって参考書で覚えているようでは残念ながら国語の全ての分野でかなり出遅れているのです。幼少時からの会話が大切な理由ですね。
話を戻して、これはどう「まとめ」れば良いでしょう?
母「昨日、行ったお店はどうだった?」
子「お店に行ったら…があって…もあって、それと…もあった」
これはどうでしょうか?
母「『よりどりみどり』だね」
または
母「『盛り沢山』だね」
でしょうか?
いかがでしょうか?
お子さんの口数が多いなら、それに加えて慣用句やことわざが言えるようになれば
「鬼に金棒」ですよ!
無口な子には
抽象→具体を意識させる
次は反対に「うちの子は余りしゃべらない!とか
一言しゃべって終わってしまう!というタイプのお子さんの場合
当然のことですが、嫌な事・苦手な事については誰だってしゃべりたくはありませんので
(>_<)
お子さん自身が好きな事・楽しい事についても余りしゃべらない…という場合です。
こういうタイプのお子さんが国語の成績が悪いとは限りません。
それどころか本を読むのが好きで内向的なお子さんですと無口なのに国語が結構出来ることもあります!
ただ、その場合でも記述問題は苦手というか空欄・白紙にしてしまう事が多い気がします
(^_^;)
またあまりしゃべらないお子さんの中には、何を聞いても、同じ表現が返ってくる(スゴイ、ヤバイ、キモイ)場合があるのではないでしょうか?
(毎回違う表現が言葉少なに出てくるようなら、逆にスゴイ才能があるのかも)
これらの「スゴイ」「ヤバイ」という言葉も一つの言葉で様々な事態をぼんやりと表現できるという意味では「抽象的」です。
このように、お子さんの口数が少ない場合は、お子さんの抽象的な言葉をこちらが具体的に膨らませてあげることで「表現に抽象具体の幅がある」ことを子供の脳に焼き付けてあげると良いでしょう
子供の言うことを「ふくらませる」
例えば、こんな感じでしょうか?
母「この間買ってあげたゲームどう?」
子「ヤバい」
母「(またヤバイなの…)面白いの?」
子「うん」
母「どこらへんが面白いの?」
子「全部ヤバイ」
母「(全部じゃ分かんないよ…)もう少し詳しく教えて」
子「乗り移って強くなったり」
母「乗り物に?」
子「違う違う…相手に」
母「相手って?」
子「敵のボスとか」
母「敵のボスに乗り移れるの?!」
子「そう。あと動物とか岩とかとか」
母「自分の魂が何にでも乗り移れるんだね!そこが面白いの?」
子「うん」
母「『何にでも乗り移れるところが凄く面白いゲーム』なんだね」
子「そ」
「ヤバイ」を「何にでも乗り移れるところが凄く面白いゲーム」に広げました。
「~~なところが面白い」と最後に言葉にしてあげるのが大切です。
このような会話を重ねていれば、ある日、子供の方から
「今度のゲームは、~~~なところが面白いよ」
言ってくれる日が来るでしょう!
ちなみに、この形は「~~~」という具体的部分と「面白い」という抽象的部分から出来ている形で、特に物語文の記述問題の基本の型でもあります。
(後の回で触れると思います)
もう一つ別の例を…
母「昨日マスコット買ったんでしょ?」
娘「まじでカワイイ」
母「(またカワイイかぁ…)顔がカワイイの?」
子「服がカワイイ」
母「スカートとか?」
娘「全部」
母「(全部じゃ分かんないよ…)どんな服なの?特徴を教えて?」
娘「全部ピンクの花柄」
母「上着とかスカートとか?」
娘「あと帽子とブーツ」
母「なるほど『帽子からブーツまで全身ピンクの花柄で可愛い』んだね」
娘「うん」
「カワイイ」を「帽子からブーツまで全身ピンクの花柄で可愛い」に広げました。
これも具体と抽象の幅がある表現です。
さて、ここまでは好きな話題でしたが、嫌なことについて会話するときはどんなお子さんでも言葉が少なくなるので、こちらで「広げて」あげましょう
ただし取り調べではないのでw責めるような調子は禁物ですよ
(+_+)
母「新しいクラスはどう?面白い?」
子「○○君、ウザイ」
母「!!……嫌いなの?」
子「うん。ウザイ」
母「どうして嫌いなの?」
子「後ろから消しゴム投げてくる」
母「嫌がらせをしてくるんだね。他にもあるの?」
子「あと、『デブ』って言ってくる」
母「ヒドイね(ちょっとダイエットさせよ…)」
母「〇〇君は嫌がらせしたり悪口言うから嫌いなんだね」
子「マジでウザイ」
「ウザイ」を「嫌がらせしたり悪口言うから嫌い」に広げました
これも「○○だから嫌い」という日本語の形を子供の脳に刻み込むつもりで聞かせるのが大切です。
言葉の少ないお子さんから言葉を引き出すのは結構大変ですが、それが出来るのは親御さんだけです!
言葉の少ないお子さんにつられて?親御さんも
「ふーん」
「そう」
なんて会話をせずに(していないと思いますが)
抽象/具体の幅を広げてお子さんの言葉の世界を豊かにしてあげましょう!
まとめ
- 口数が多くて話が具体例ばかりの子
↓
話をまとめてあげる - 抽象的な言葉が少しだけの子
↓
話をふくらませてあげる
いかがでしたか?お子さんにあった形で文の抽象/具体性に対する感覚を鋭くしていけると良いですね
次回は「説明文で線を引く場所」です。
前回の「抽象的」以外にも形式的に判断できるものがあるのでそれをお伝えします。
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