対比作文(表)で読解力を強化!家庭で上げる国語力(10)

「説明文が苦手」という中学受験生のあなたは「とにかく塾の宿題課題や問題集をたくさんやるしかない」と思っていませんか?

残念ですが…塾講師と家庭教師歴20年の私の経験上、闇雲に問題を解いても得意な人には追いつけません。

なぜなら国語が得意な人と苦手な人では「頭の中」が違うからです。

これを聞いて「それじゃ一生勝てないの?」と心配するかもしれませんが、そんなことはありません!

国語が得意な人の頭に近づく方法があるのです。今回紹介する「対比作文」がその一つです。

この記事では東大卒講師歴20年の図解講師「そうちゃ」が対比力をアップしてあなたの頭を良くする方法を説明します。

記事を真似して「対比作文」を一週間に2・3回書いていれば、説明文の読解に必要な「棚」が頭の中にできてきて、だんだん説明文が得意になるだけでなく、理社などの知識科目も出来るようになりますよ!

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対比作文

こんにちは!図解講師の爽茶です

毎週土曜日更新の「家庭で国語力を上げる」シリーズです。(今回は日曜の深夜になってしまいましたが…)

今回は、「対比作文」です。

説明的文章の構造(復習)

説明的文章の構造は、問題提起(テーマ)に対する筆者の意見(Q→A)、筆者の意見と反対意見(常識)の対比(対立)(A↔B:大きな対比)、筆者の意見の中での対比(a↔b:小さな対比)の3つから出来ている。これらが合わさって、通常「Q→B↔A,a↔b」という形になる。

今回、提唱するのは「小さな対比」を作ってみる「対比作文」というものです。作文とはいうものの、実際は「対比の表」です(汗)

補助課題の必要性

以前も述べましたが、国語が得意な生徒と苦手な生徒の学力差というのは他の科目に比べても非常に大きく、しかも年齢が上がるにつれてどんどん差が開いていきます。

したがって、漢字・語句や読解問題の量をこなすだけでは学力差は縮まらず、成績が上がらないことも珍しくありません。

そこで、国語力をあげるための補助課題が必要になってきます。

この連載では以前「QBA作文」を提唱致しましたが

それに続いて今回ご紹介するのが「対比作文(対比表)」です!

この2つの作文を長く・多くこなすことで、論説文のテーマやパターンが頭の中に作られ、初出の文章も読めるようになってくる、と長年の指導の結果思っています。

また、対比作文の効果は国語にとどまりません!

この後具体的に述べますが、対比作文をすることで、様々な事物に関する知識を整理するための「棚」が生徒の頭の中に作られます。

そのため、理社の知識の暗記なども主体的または効率的に行うことができるようになる可能性が高いです。

→参考記事

「頭の中に棚を作って知識を倍にする!」

対比作文のやり方(入門編)

まず、出来上がるまでをスライダーで御覧ください。
左向きにスライドさせます

((作成中です))

ここから、作り方を書いていきます。

本来、「小さな対比」は意見を述べるための対比であって、ただの対比ではありませんが、
国語が苦手なお子さんは、まず対比に慣れて、頭の中に「棚」を作ることが大切です。

したがって、始めは好きな物同士の対比や好きなものを絡めた対比で構いません。

また、最初は子供一人で「正しく」書くのは難しいので、最初の一回は親御さんか先生が誘導してあげることを進めます。

書式

対比作文はこのような用紙を使って行います。

表を埋めていく

まず、タテに並んだ空欄の一番右に比較する2つのものを縦に並べて書きます。

どちらかというと、上に書くものが主役(a)で、下に書くものが脇役・ライバル(b)です。

「下(b)と比べて上(a)はこういう特徴がある」という風に考えます。(初めはこだわらなくて良いです)

気をつけてほしいのは、aとbは全く関係ないものではなく、何か共通点があった方が書きやすいという事です。その共通した特徴が「テーマ」になります。

たとえば、子供に好きな野菜を聞いて「トマト」と返ってきた場合、比較するのは同じ様に好きな野菜か、どこかが似ていてしかも嫌いな野菜が適当です。赤い野菜で嫌いなものとして「ニンジン」をすすめてみましょう。

この場合、aは「トマト」bが「ニンジン」で、テーマは「赤っぽい野菜」になります。楽しませるためには、ここで絵でも書かせると良いですね。

次に、一番上の左右に伸びる空欄に比べる事柄を書いていきます。

これらの事柄を「対比の『項目』」と呼びます。

最初は思いついた事を上でも下でも好きな場所に書いてよいのですが、実際、子供が自発的に書き出すのが難しいので、質問して誘導します。

例えば、「トマトがどうして好きなの」という質問には多くの場合「おいしいから」という答えが返ってきますが、

好きな食べ物=おいしいは当たり前すぎるので、続けて「トマトのどういうところがおいしいのかな?」との質問から「酸っぱいから」と誘導して「味」という項目の上(a)の欄に「すっぱい」と記入させます。

さらに「ニンジンはどうして嫌いなの?」という質問に対して「ボリボリして硬いから」という答えが返ってきたら、これは「味」ではないので項目を変えて「歯ごたえ」という項目を左に新しく作って、下(b)の欄に「かたい」と記入させます。

ここで表全体をもう一度見ると、「味」の下の欄、「歯ごたえ」の上の欄が空いているのが分かります。

「ここが空いているから埋めようか」という気になりますね(これが対比作文の目的の一つです)。

そこで「じゃあ、ニンジンはどんな味?」と質問します。「まずい」という答えは「おいしい」の反対なのでNGです。

他の似たような味の物をあげさせたりして、それは「苦い」っていうんだよと教えるのも良いでしょう。

ここで、表情の絵を書いているのは、私が楽しいからというのもありますが、実はこの「表情イラスト」は物語文の読解で非常に重要なので、生徒にも慣れてほしいのです。

!参考記事

「物語文読解には表情イラスト!」

この調子で、トマトの「歯ざわり」も質問しながら記入していきます。

埋めていくうちに、思わぬ項目が生徒から発案されて驚くと同時に楽しいこともあります。そんな感じで完成した対比作文の表がこれです。

作文化

表が完成したら、表を見ながら発表をしてもらいましょう。

発表の「型」は、こんな感じです。太字にしたところは「対比の接続語」です。これを使う練習をさせる意味が大きいです。

「私は野菜の中ではトマトが好きです。ところが、同じ赤い野菜でもニンジンは好きではありません。そこで今日はトマトとニンジンを比べてみました。

まず味について言うと、トマトは酸っぱいです。一方ニンジンは苦いです。*

次に歯ざわりについては、トマトは柔らかくて噛むと弾けるようです、ニンジンは固くてボソボソしています。

最後に料理について比べると、トマトはビーフシチュー等に使われています。それに対して、ニンジンはきんぴらごぼう等に使われています。」

「*」がついた部分あたりまでを保護者・教師がやってみせて、今度は最初から全部言ってご覧と、子供に言わせると良いでしょう。

純粋に対比の練習で、問題提起が何も無いので、結論というか主張も無しでかまいません。

こういう記述問題は入試の理科や社会で出題されることがありますので、良い練習になるでしょう。

あとがき

長くなったので、次回も対比作文(対比表)の続きで、
他の科目に応用する例を書こうと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!
また来て下さいね

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