お子さんが「説明文が苦手」というお父様お母様は「とにかく問題をたくさん読んで解くしかない!」と考えることが多いです。
しかし講師歴20年の私の経験上、闇雲に問題を解いても得意な人には追いつけません。なぜなら国語が得意な子と苦手な子では「頭の中」が全く違うからです。
これを聞いて「それじゃウチの子は国語が得意な子には一生勝てないの?」と心配するかもしれませんが…大丈夫です
国語が得意な子の頭に近づく方法があるのです。今回紹介する「QBA作文」がその一つです。
この記事では東大卒講師歴20年超の図解講師「そうちゃ」が、ご家庭でスキマ時間にも出来てお子さんの頭を説明文が得意な子の頭に近づける「QBA作文」の方法を分かりやすく説明します。
記事を真似して「QBA作文」を一週間に1回は書いていれば、説明文の読解に必要な「棚」が頭の中にできてきて、だんだん説明文が得意になりますよ!
目次(クリックでジャンプ)
説明文の構造(復習)
こんにちは!図解講師の爽茶です
ー(^o^)/~~
前回の記事「説明文の構造(1)」ではQBA構造について述べました。
❶Q(問題提起)→A(筆者の主張)
❷A(筆者の主張)⇔B(反対意見=常識)
という構造が
「Q→B⇔A」という形で現れる
今回は、国語の成績を上げるための具体的な学習法について提案致します。それが「QBA作文」です。
説明的文章の構造(予習)
説明的文章は「QA」「A⇔B」「a⇔b」からできていて、全体構造は「QB⇔Aa⇔b」になる。
a(筆者の意見の中の主/正/善)↔b(従/負/悪)
このうちの「QBA」を実践的に理解して読解力をアップ(冒頭を読んだだけで全体の構成を予想できるようになってきます)させるのが「QBA作文」の目的です。
QBAの例
トレーニングを始める前に、生徒に対してQBAの例をいくつか見せると良いでしょう。
寺田寅彦先生の「流言蜚語」(青空文庫)の構造を例として示します。
BBQよりもQBA
多くの生徒は国語の学習が不足している
個別指導や家庭教師では授業を引き受ける際に現在の学習方法・学習量についてヒアリングを行います。
たいていの集団塾では算数の宿題は大量に出されますが、国語の宿題特に読解問題の宿題は余り出されない傾向があります。
また、読解力を上げるための訓練になるような補助教材もありません。
第一回「国語の成績を上げるのはなぜ難しいのか」でお話ししましたが、国語は算数以上に学力の差が大きいのです。
したがって、出来る子に追いつくためには塾の宿題だけでは量も質も足りない事が多いです。
量について言うと、成績を上げたいなら、塾の授業で解く以外にも読解問題を週に最低4題は解く必要があります。
当然、塾のサブテキスト等では足りない事が多いので
市販の「薄め」「易しめ」の問題集を使用すると良いでしょう。
時間が無い!場合は設問の文章を読むだけでも良いです。
家庭でのプラスアルファ
質について言えば、国語の成績が「悪い」お子さんの場合ただ読解問題を漫然と解いて答え合わせをするだけでは「読み方」「解き方」のルールを身につけることが難しく、「初めて読む文章を読み取ることができない」という状態が続いてしまいます。
そこで設問以前の「文章の読み方、構造の把握方法」つまり「頭の枠組み」を鍛える課題がほしい所ですが、そういうフォローが必要な課題をわざわざ出してくれる塾はめったにないでしょう
したがって、問題演習以外の「『頭』を鍛える課題」は家庭で独自にやるしかない事が多いです。
また、そのような「根源的な能力」を鍛える課題はすぐに結果が出ないことがほとんどなので短期的な成果に左右されず長期的に取り組む必要があることからも、家庭主導で行うのが適しているとも思います。
頭を鍛えるには作文課題を
私の場合、国語を担当した生徒には問題集からの読解問題以外に、様々な作文課題を出して頭を鍛えるよう心がけています。
その作文課題の一つが今回紹介する「QBA作文」です。
読解力をつけるために「作文」課題を出すのは、ある形にそって文章を実際に作ることで典型的な構造を体で覚えて文の構成を読み取れるようになるのと同時に、「書く側」の気持ちが分かり文の構成が予想できるようにもなってくるからです。
上手な人の真似をしているうちに出来るようになるというのはスポーツと同じです。
QBA作文の実際
QBA作文の書き方の前に、もう一度QBAを確認します。
説明的文章は、問題提起Qに対する筆者の意見Aが書かれており(Q→A)、しかも問題提起に対する普通の答え(反対意見:B)と普通でない答え(作者の意見:A)が対立構造をもっています(B↔A)。
この構造が「QBA」です。
QBA作文(初級)の形
今回は、初級編として「書くことに慣れる」事を主眼にします。
テーマ(=Q)は、好物、人間関係、身近な話題や頻出テーマなど色々思い浮かびますが、最初は「楽しく論じることができるもの」つまり好きな事・やりたい物(食べ物、動物、ゲーム、アニメ、キャラクター、スポーツ)にしましょう。
意見は全くの自由です。嘘(自分の本心と違う意見)でも構いません!作文なので
書いた事自体を褒めるのが大切です。
量としては、はじめは普通の学習ノートで「最低3行くらい」で十分です。
書く形(型)が決まっているので、それに従えばあっという間に3行くらいは書けてしまいます。
作文の構成は、QBAに則って、
①QBパート(問題提起→反対意見(常識・多数意見))
②Aパート(自分の意見(非常識・少数意見))
③簡単な理由
です。はじめはこの形を守らせます。
①Q→B部分
例)「~(Q)~?と質問されると、友人の多くが~(B)~と答えます。」
例)「友人の多くが~(Q)~について、~(B)~が好きです。」
②A部分
(例)「でも、私は~(A)~だと思います。」
(例)「しかし、私は~(A)~が好きです。」
③理由
(例)「なぜなら、(B)よりも(A)が~だからです。」
(例)「というのも、(A)の方が(B)よりも~だからです。」
理由は何でも構いませんが「好きだから」というのだけは禁止です。
初級では、この「理由」を考えたり言語化するのを親御さんが手伝ってあげると良いと思います。
これらをつなげると
「~(Q)~?と質問されると、友人の多くが~(B)~と答えます。でも、私は~(A)~だと思います。なぜなら、(B)よりも(A)が~だからです。」
という感じになります。
QBAの中身をまだ書いていないのに、ずいぶんな字数になっているのが分かります。
では、いくつか例を書いてみましょう
QBA作文(初級)の例
例1
「夏の食べ物と言えば?と聞かれると、みんな「アイス!」とか「かき氷!」と答えます。でも、私は「激辛ラーメン」だと思います。なぜなら、アイスやかき氷よりも汗をいっぱいかきながら食べる激辛ラーメンの方が夏を100%味わっている気になれるからです。」
例2
「どにゃえモン」に出てくるキャラクターで、クラスの男子に人気があるのは「しづ子ちゃん」です。でも僕は「じゅずる」が好きです。しっかりしている「しづ子ちゃん」よりも失敗ばかりしている「じゅずる」の方が守ってあげたくなるからです。
QBA作文(中級)
初級作文だと簡単すぎる、慣れてしまったというお子さんは中級に進みましょう。
中級では、もう少し説明的文章らしいテーマに挑戦して下さい。
◆人間関係(親子、兄弟、友人、先生と生徒、大人と子供、若者と老人)
◆頻出テーマ(自然・環境保護、国際化・英語、欧米化・伝統文化、科学技術・スマホ・インターネット、男女の平等、公衆マナー、喫煙、海外旅行国内旅行、)
保護者の協力が必要
これらのテーマになると、普通の意見・常識は何なのか、低学年の子供は知らないこともあります。
勉强が出来る子供でも、「『人間と自然環境』についての常識は?」と聞いてみると「自然はどんどん利用するもの!」なんて言ったりします。
そこで親御さんの出番です!「自然は大切にするもの」とか「自然をむやみに利用するのは良くない」と普通の意見・常識(B)を教えてあげて下さい。
追加要素
また、④として、2つ目の理由を加えたり
④追加の理由
「また、~BよりもAが~だからです。」
「それに、~Aの方がBよりも~だからです。」
②のBAパートの前に、Bに対する批判を入れたりできれば
かなり立派な作文になりますね。
◎Bに対する批判
「また、~B~と考えると~~になってしまいます(おかしいです)。」
「それに、~B~だと~~~ができません(ありません)」
例えば、
「~(Q)~?と質問されると、友人の多くが~(B)~と答えます。でも、それだと~~なのでおかしいと思います。むしろ、私は~(A)~だと思います。なぜなら、(B)よりも(A)が~だからです。」
という感じになります。
中級については、もう少し後の回でやってみましょう。
用紙の例
実際に宿題で用いた用紙を示します。
よろしければダウンロード後印刷してお使い下さい。
あとがき
家事やお仕事等で忙しい親御さんが多いとは思いますが、家庭学習に是非取り入れてください。
次回は説明的文章の構造に戻って、三大構造の最後の一つに関する記事「説明的文章では対比は二重構造になる!」です。
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