説明文の構造(QBA)家庭で国語力を上げる勉強法(7)

「説明的文章をスッキリと読みたい!」という中学・高校・大学受験生や社会人の方へ。

この記事は東大卒講師歴20年の管理人が説明的文章の一般的な「構造」を明らかにします。

読みおえた後はあなたの文章読解力は一段階アップしているでしょう!

はじめに~注意書き

こんにちは!
ー(^o^)/~~
図解講師の爽茶です

前回は、説明文と論説文の違いを考えながら「説明的文章には『意見の対立構造』が隠れていて、それを明示して自説を述べるものが論説文。対立構造を示さず自説を述べるものを説明文」とする定義を提案致しました。

今回は、順番が逆になってしまいましたが、意見の対立構造に先立って存在する「説明的文章の根本的な構造」を合わせて書きたいと思います。

ちなみに、「構造」を理解すると文章の内容を理解することが容易になります。

つまり「接続詞に線を引け」というような内容に関係無い「形式的な」読解テクニックとは違い、「構造理解」は内容理解に関係する「実質的な」読解テクニックになります。

「形式的」「実質的」と並べると無条件に「実質的」の方が優れている!「形式的」はレベルが低い!と考えがちです。

しかし学習方法に関しては「形式的」なテクニックの方が優れています!なぜなら「実質的な」テクニックがある程度の知識や読解力が必要なのに対して「形式的な」テクニックは誰でも実行できるからです。

そういうわけで、ある程度の成績の生徒さんが「説明的文章の構造」を理解しただけで「目からウロコが落ちて」成績がパッと上がった事は私の20年の講師経験上確かにありましたが、正直に言って成績がイマイチな生徒さん(特に対義語の知識と対比のセンスが無い場合)には宝の持ち腐れになることが多かったです。

実際、国語の成績が悪い生徒さんには、こういう「実質的な」読解テクニックよりも「形式的な」テクニックや漢字や語句などの知識、そもそもの「演習量の確保」「学習習慣の定着」を半年以上行う必要があるのが普通でした。

勉強に限りませんが「これさえ知れば努力しなくても成功できる!!」そんなうまい話はありません

以上の点に注意して、続きをお読み下さい。

第一の構造

いきなりは変!

天気の良い午後、道を歩いているところを想像して下さい。

すれ違いざまに、いきなり「鎌倉幕府の成立は1192じゃなくて1185だよな!」なんて声をかけられたら驚きドン引きしますよね?

では、どういう時に主張すれば「ふんふん、なるほど~」と思ってもらえるでしょうか?

それは、もちろん「鎌倉幕府の成立時期っていつだっけ?」と質問された時ですね。

文章も同じで、作者の主張は質問・疑問に対して、説明的文章においては「問題提起」に対してなされます。

「問題提起」は、疑問文の形でされるのが普通です。

例えば「鎌倉幕府の成立を何年と捉えるべきだろうか?」という感じです。

問題Q→答えA

このように、問題提起に対して自分の主張を行う。これが説明的文章の第一の構造です。

私の授業では、問題提起はQ(Question)、主張は答えなのでA(Answer)として「Q→A」(きゅうえー)と表しています、

そして問題提起Qは、その文章が扱う事柄を決めるので「文章のテーマ」と言っても良いでしょう。

この「Q→A」は説明的文章の一番根本的な構造です。

したがって説明的文章を要約する場合、一番短い要約は、「Q→A」になります。

口頭で説明するなら「この文章は『鎌倉幕府の成立時期について(Q)、1185年(A)』と言っている」となります。

説明文の構造

❶QA(問題提起と主張)

急にボールが当たったので…

実は、ここからが本題です。

この説明的文章の第一の構造(Q→A)と前回扱った意見の対立構造(A↔B)を合わせるとどうなると思いますか?

「Q→A↔B」では無く、「Q→B↔A」となります。
(急に(Q)ボールが(B)当たったので(A))

そのワケを説明しましょう。

Q(急に)B(ボールが)A(当たったので…)

いって…

先週は「A↔B」について「対立構造」とだけ説明しましたが、実は、AとBは役割が決まっています。

まず、B(反対意見)はQ(問題提起)に対して一般的に言われている「当たり前の意見」です。

「常識」とか「多数説」「通説」「定説」色んな言葉があてはまりますが(「一般論」という言葉は違います)、鎌倉幕府の話なら1192年がずっと「通説」「多数説」でした。

それに対して作者の主張であるAは「普段あまり耳にしない意見」「非常識な意見」「新説」「少数説」です。鎌倉幕府の話なら1185年は「少数説」でした。

このような「Bが「常識」でAが「非常識」」という役割分担は9割以上の説明的文章で見られます。では、どうしてそうなるのでしょうか?

まずAが「非常識」な意見の理由です

文章を読むにはお金を出したり、手間をかけたりして本を入手しわざわざ時間を割いて向かい合わないといけません。

そこまでして「当たり前の意見」つまり「普段、世間や先生・自分の親・姑さんから言われている意見」をわざわざ読みたいと思いますか?
(^_^;)

例えば、書店に行った時に「一生懸命勉強して偏差値の高い学校に入りましょう」とか「仕事も家事も育児も全部きちんとできる良妻賢母になりましょう」という本があっても手に取ろうとは思いますか?

「またかよ…」「確かにそうだね…」と思って終わりでしょう

反対に、「学校に真面目にいくと幸せになれない!」「家事も育児も手抜きの方がうまくいく!」というタイトルの本は、「えっ?」と思ってとりあえず手にとって見るのではないでしょうか?

文章を書くプロは本が売れないと困ります。
(>_<)

だから、「常識」「普通の意見」なんか書かないのです。(時流によっては、「常識」と「非常識」が逆転することもあります。そういうときは「常識に回帰しよう」という本が売れるので、プロならそっちの意見を書くでしょう)

これがAが「非常識」になる理由です

次に、QBAになる理由です。

普通と違う意見を効果的に主張するためには、まず、読者に普通の意見を連想してもらいその上で非常識な意見を出す必要があります。

右に来ると思わせておいて左とか意表をつくわけですね。

もちろん、ただ意表をつくだけでなく読者を納得させるのがプロの条件ですが…

以上の2つの理由で説明的文章の典型的な構造は、問題提起Qに対して、まず、普通はこう考えますね、常識はこうですねというB。その次に、しかし実はこうじゃないですかというA

すなわち「Q→B↔A」急に(Q)ボールが(B)当たったので(A)になるのです

ここまでのまとめ

説明文の構造は
❶QA(問題提起と主張)
❷AB(筆者の意見と反対意見)
③???
で、❶と❷は
「Q→B↔A」の形になる

実際の構成

次に、実際にQBAがどう現れるかについて少し詳しく考えます。

全部の文章がQBAで書いてくれればわかり易くてよいのですが(自分で作文する場合は、QBAで書きましょう)

実際にはQBAという構成で書いていない文章や、摸試・入試や問題集などで一部分だけを抜粋されていてQBAが揃っていないことがあります。

筆者の主張(A)が無いのはありえないので「QA」か「BA」という構成になるということです。

その場合は、どうすればよいでしょうか?

Qがない場合(「BA」という構成)

「~~と思っている人が沢山いらっしゃいます。でも~~~~」というような文章は問題提起(Q)が明示されていません。

でも、Qを予想することは可能です。問題提起Qに対する「当たり前の意見」「普通の意見」はBの方なのでQと結びつきが強いのはBになります。

したがって、B(普通の答え)を見ればQ(質問)を予想するのは可能なことが多いです。

例えば、B(反対意見)が「マジメに勉強するのが一番だ」の場合、Q(問題提起)は何だと思いますか?

「成績を上げるには?」「志望校に受かるには?」あたりでしょうね。

こちらは簡単なので予想出来る生徒さんが多いです。

Bがない場合(QAという構成)

理解が難しい文章は、こちらです。

考えたこともないQの場合、それに対する普通の意見Bも思いつかないのが普通なので、「A↔B」の対立構造が分かりません。

対立構造が分からないと、作者の意見(A)のどこが普通の意見と違うのか、すなわちAのポイントが理解できません。

何度も例にだしている鎌倉幕府で言うと、鎌倉幕府の成立については1192説というのは皆さん聞き知っているので「今、鎌倉幕府成立は1185年だよ」と聞いただけで

「え?今までの1192と違うな。どうしてそう考えるのだろう」
「なるほど今まで形式的に決めていたのが、実質的に決めるようになったんだな!」

と議論のポイントを捉えることができます。

しかし、これが室町幕府になったらどうでしょう?

室町幕府の成立が何年かご存知ですか?「知らない」「忘れた」という方が大半でしょう

ちなみに、以前の語呂合わせでは、1338年(瞳さわやかタカウジ君)でした。これは足利尊氏が征夷大将軍に任命された年です。

この知識がない人が「室町幕府の成立は尊氏が湊川の戦いに勝利して光明天皇を擁立し建武式目を制定した1336年とすべき」という意見を聞いても、

議論のポイント(実質↔形式)がよく分からず、「あ、そうなの(なんでリキんでるんだろう?)」という感想になってしまいます。
(^_^;)

「読書」「常識」「教養」等が大切な理由はここにあります。

様々な論点について、普通どう言われるのか(常識,定説=B)これを予め知っておくためには、読書をしたり大人から話を聞くしかないからです。

最終目標は…

読書・勉强・会話で教養を身に着けて、多くのQからBを予想できるようになれば、QからB、BからAをも予想できるようになってきます。

そうすれば、冒頭を読んだだけでその後の内容は八割がた予想できるようになります。

あとは、気楽に、自分の予想と違うことが書いてあるかを探して、新たな発見を喜ぶ、というふうに楽しみながら国語を解けるようになります。

「勉強したことがないけれど、国語の成績はいつもトップ」という人はこういうタイプです。

まとめ

説明的文章の構造(QBA)

❶Q(問題提起)→A(筆者の主張)
❷A(筆者の主張)⇔B(反対意見=常識)
という構造が
「Q→B⇔A」という形で現れる

説明的文章の三大構造のうち2つを解説致しました。

次回は、残る一つに進む前に、今回の「QBA」を使ってご家庭でお子さんの国語力を上げるためのトレーニング方法を紹介したいと思います。

→「説明文の対立構造を理解するQBA作文をやろう

最後までお読みいただきありがとうございました。
ー(^o^)/~~

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